オンラインカジノには興味があるけど、なかなか登録まで踏み出せない。
人によって理由は様々ですが、「違法ではないのだろうか」「違法ではないけど合法でもないから見つかったら罪に問われるんじゃないか」という疑問を持たれる方も少なくありません。
そこでここでは、現在日本人が利用することが果たして違法にあたるのかについて、これまでの歴史を紐解きながら詳しく解説していきます。
オンラインカジノとは
まず違法かどうかを判断する前に、そもそもオンラインカジノとはどういったサービスで、どのくらい歴史のあるサービスなのか。
この辺りについて知識を深める意味で見ていきましょう。
一般的なカジノとの違い
私たちのイメージする、いわゆる一般的に言われるカジノとは、金銭を賭けてブラックジャックやスロットなどのゲームを楽しむ施設のことを言います。
日本にはこれまで文化がないので、ラスベガスやマカオなど豪華で派手な施設か、あるいは何となく違法性のある賭博のイメージを持たれる方が多いと思います。
しかしながら、その歴史はかなり古く、世界最古と言われるイタリアの「Casinò di Venezia」は実に1638年から運営しています。
現在世界で120ヶ国以上あると言われていますが、日本では法律上認められてない(=つまり違法)のため施設はありません。
しかし、2018年に7月に成立したIR実施法によって、いよいよこれから日本にも施設が作られることが決定したため、その動向が注目されています。
これに対しインターネット上にある架空の施設というのがオンラインカジノと言えば違いがわかりやすいでしょうか。
つまり、私たちユーザーは施設に足を運ぶ必要がなく、インターネットが通じているパソコン、タブレット、そしてスマートフォンがあれば世界中のどこにいてもゲームが出来るという特徴を持っています。
そして最も明確な違いは、ゲームの相手が「人間」か「プログラミングされたコンピューター」であるかという部分。
ただこれに関しては、ここ数年でインターネットを介してディーラーと対戦することが出来るようになったため、だいぶ差別化がなくなってきましたが、元々は「ゲーム」というイメージが強くありました。
オンラインカジノが誕生した歴史
世界で最初にオンラインカジノが誕生したのは遡ること1996年。
世界最古の1つとして有名で、ウェイジャーロジック社が立ち上げたInter Casinoを例に、その歴史を説明していきましょう。
当時親会社だったクリプトロジック社がソフトウェア(ゲーム)と、当時画期的と言われた電子決済方法「Ecash」を開発して、ウェイジャーロジック社がオンラインを使った運営をはじめたのが始まりと言われています。
とはいえ、今のように違法性のないと公言できる運営規則が整備されるまでには約10年かかり、Inter Casinoも2007年にマルタ政府の運営ライセンスを取得して、ようやく現在のような形になりました。
その後、2011年に誕生したDumarca Holdings Ltd社が運営を開始したVera&John(ベラジョン)が日本語に対応したサイトやサポートを提供してから、日本人ユーザーが徐々に増えていきました。
※ちなみにInter CasinoとVera&Johnはインターテイン・グループとして同じ親会社が運営しています。
つまり、現在のような仕組みが整ったのは、ここ10年くらいとまだ歴史の浅いサービスとなっています。
しかしながら、現在全世界で4000万人以上のユーザーがいると言われるほど、右肩上がりにユーザー数が増え続けているサービスになります。
オンラインカジノの運営が認められている国
日本で違法かどうかという議論が上るように、当然ながら世界全ての国でオンラインカジノが認められているわけではありません。
では、具体的にどの国では運営が認められているのか。
それを知るために、現在日本に進出(=日本語対応)していて、合法的なライセンスを取得している30種類のサービスについて各運営国を調査した結果をまとめました。
●イギリス(イギリス領を含む):6サイト
●マルタ共和国:11サイト
●オランダ:5サイト
●フィリピン:6サイト
●カナダ:2サイト
このように運営会社がある場所は5カ国とそれほど多くないことがわかります。
逆に言えば、少なくともこの5カ国のいずれかに拠点があって、かつライセンスを取得していのであれば、一定以上の信頼性がおけるサービスであると言って良いと思います。
オンラインカジノのプレイが認められている国
では次に、インターネットを介して上記のような運営国のサービスを利用して良い国はどのくらいあるのでしょうか。
この数は、法整備がされていない(=違法ではない)国を含めると190カ国以上あると言われています。
世界の国数が195カ国なので、ほとんどで大丈夫とされていますが、アメリカは一部の州を除いて違法、さらにお隣の韓国やインドネシア、シンガポールでは違法とされています。
そうなるといよいよ「日本でプレイすることは果たして違法ではないのか?」という疑問が強まってくると思いますので、本題へ入っていきましょう。
オンラインカジノを日本で運営することは「違法」
現在日本で認められている賭博(ギャンブル)は、大きく分けて以下の3種類があります。
・競馬、競輪、競艇、オートレースの公営賭博
・パチンコ、パチスロの風俗営業法で認められている遊戯。
・宝くじやスポーツ振興くじ(toto)といった当せん金付証票法で認められている賭博
それ以外の賭博は違法とされていますが、カジノについては2018年7月にIR法案が成立しましたが、現状では段階的に合法化をしているため、条件を満たしていない部分は違法となります。
オンラインカジノも同様に上記の法律のいずれにも認可されていませんので、日本企業、海外企業問わず、日本国内を拠点に運営することは違法とされています。
では具体的に、違法と判断された運営会社の事例を2つ紹介しながら詳しく見ていきましょう。
違法運営による逮捕例①:NetBanQ
実際に違法運営で逮捕された例として、2016年2月に、当時日本でも人気の電子決済サービスであった「NetBanQ」の運営者が逮捕された事件がありました。
海外で合法的に運営されているサービスではあったものの、「NetBanQ」を介して故意に賭博をさせて利益を得ていたということで違法営業とされた事案です。
違法運営による逮捕例②:シティーオブドリーム
2017年5月、大阪市中央区東新斎橋で違法営業していた「シティーオブドリーム」の運営者と従業員の韓国籍の2名が逮捕された事件です。
こちらはネットゲームを介して直接現金のやり取りをしていたという摘発事例です。
もともとはネットカフェを運営していましたが、より儲かるという理由からインターネットを利用した賭博の違法営業に踏み切った経緯があったケースです。
利用者側の違法性について
さて、上記の事件で問題となるのは運営者側だけでなく、利用していたユーザーの違法性についてです。
この点が、私たちがプレイをすることが違法なのか判断する上で重要な部分となってきます。
結論から申し上げると、この2つの事案では単純賭博罪の容疑で前者は3名、後者は4名の逮捕者が出ました。
そして、この内1名が不起訴となりました。
正にこの点が、利用したユーザーが果たして違法かどうかの肝となる部分となるのですが、この辺りをもう少し掘り下げて見ていきましょう。
単純賭博罪とは
この2つの事件で違法行為をしたとされるユーザーにかけられた容疑は、いずれも単純賭博罪というもの。
単純賭博罪は、簡単に言うと違法営業をしている場所で賭博を行ったり、個人間でも数十万円以上のお金や商品を賭けてポーカーや麻雀したりという場合にかけられる罪状のことです。
これに当てはめて考えると、後者のシティーオブドリームの事件は、日本国内のネットカフェという場所で賭博をしていることから、単純賭博罪に適用する(=違法である)ことは明らかです。
「不起訴」が示す意味とは
一方、2016年に起こったNetBanQの事件では、日本国内から海外へアクセスしたものの、逮捕された3人は同じ場所にいたわけでなく、あくまでNetBanQという電子決済サービスを使って入出金をしていただけなので、違法と決定づけるには微妙なラインでした。
なぜなら、逮捕されたプレイヤーはNetBanQの違法性を知っていたわけではありませんので、故意に運営者の営利に加担していたわけではないからです。
しかしそれであっても、逮捕されたユーザーが罪を認めれば起訴(=99.9%有罪が確定)になってしまいます。
ここが法律の難しいところなのですが、単純賭博罪は罪としては比較的軽い部類になるため、刑といっても罰金刑のみです。
そのため、裁判を起こした時の費用や手続きを考えれば、認めてしまう(=罰金を払う)方が賢明と考える方も少なくありません。
事実、3名の逮捕者の内、2名は起訴の選択肢を選びました。
しかし、1名は違法行為であることを不服とし、裁判を起こして不起訴になったというわけです。
お分かりかと思いますが、「不起訴=不処罰=無罪」です。
言い換えると、オンラインカジノは違法ではないということを司法が認めたということです。
この事実は、賭博罪を専門とする京都グリーン法律事務所の津田岳宏弁護士がブログでも、違法でないことが証明されたことを公言されています。
参考:『津田岳宏弁護士のブログ』
オンラインカジノは現時点では違法ではない
ここまで解説してきたように、現在オンラインカジノに関する日本の法律はありません。
そのため、合法か違法かと問われれば違法ではないけど、胸を張って合法とも言えない、つまりグレーと言うしかありません。
しかしながら、娯楽を目的として遊ぶことは違法ではないことは、過去の事件から明らかとなっているのもまた事実。
これから法整備が進んでどのようになるかはわかりませんが、少なくとも現時点では海外で合法的なライセンスを取得して運営しているサービスでプレイを楽しむ分には違法ではないと考えてよいでしょう。